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カテゴリ: 中島憲一朗

良薬は口に苦し、ノニよお前もか?

2022年01月16日 12:53 | コメント/トラックバック (0)

良薬は口に苦し、ノニよお前もか?

ノニの力と分析の力                 

ノニの存在を知ってから10年程になる。
学生の一人から、「美容と健康のために母娘でノニジュースを飲んでます!」と言って紹介されたのが初めである。
彼女は確かにきれいな肌をしており、健康そのものであった。
奇しくも時を同じくして、西垣氏がノニの分析を依頼に見えた。
氏とは大学の同期であり、旧知の仲であったので、とりあえず引き受けることにしたが、ノニジュースを目のあたりにして、その異様な味にとにかく驚いた。
健康のためとはいえ、此の様な飲みものを好んで飲む勇気のあるヒトを、とても尊敬する一方で、すぐには理解できなかった。
学生さんたちの評価も「すごい臭気のする変わった味の飲み物だ」とか、「慣れると飲めるかも」など様々であったが、やはり罰ゲームに飲まされるなど、尋常のものではないと言うのが大方の結論であった。
西垣氏は「飲めば飲むほど好きになる人が多い」と推奨したが、俄には信じられなかったのも事実である。  

その後、正式にノニジュースの分析を引き受けることになり、主成分の同定と定量を行った。
クマリン誘導体などいくつかの有用な成分を同定・定量することができた。
ところで、”ノニの力”とは何だろうかとスタッフや学生といろいろと議論した結果、抗酸化能がその一つではないかということになり、ノニの産地から集めた多数のノニジュースについて抗酸化能を調べた。

その結果、ノニの力としての抗酸化能を確認できる結果を得ることができた。この結果をハワイの国際学会で紹介したが、なぜかハワイのものよりもインドネシア産の方が抗酸化能は強く、その理由を聞かれて困った想い出がある。
これはおそらくは果実の収穫時期や、気候などに影響を受けたのだと思われる。
何故ならば若い実と熟した実とでは成分に変動が見られるからだ。

読者の皆さんは、ノニの高速液体クロマトグラムをご覧になったことがあるだろうか?
無数のピークが出現することから、非常に多くの成分が含まれていることが分かる。
その中から、主要なものは同定できるが、ほとんどのものは分からないままである。
他方、抗酸化力はこれらの成分が混ざった形で発揮されることを知らなければならない。
分析力は主成分の同定や定量を可能にするが、成分すべてを同定するには膨大な時間と労力を必要とする。
もちろん抗酸化力を測定するのも分析力ではあるが!!

此の様に考えると、健康食品と称されるものは、主成分の混ぜ合わせでその力を発揮するものもあるが、本質的にはすべての成分が存在する果実そのもの、植物体そのものが有効ではないかと思われる。
生薬は原材料をそのまま利用するのが古来からの考え方である。

サントリー山崎のモルトの名キャッチコピーではないが、“何も足さない、何も引かない”である。
主成分が有効であることには異論はないが、様々な成分が絡み合って、それぞれの効果を相乗的あるいは相加的に高めているのではないかと思いたい。

改めて言うまでもなく、医食同源あるいは薬食同源の考えは、現代人の超多忙な生活を改善する上で必要不可欠な考えであろうと思う。

中島憲一郎
前長崎大学副学長
前長崎国際大学学長
 

本文は「みなみのノニ子、ドタバタ奮闘記。」(東京ノニ研究所出版)に掲載されたものです。


非常に貴重な一文であり、日本における、否世界における最初の科学的なノニ研究の草創期の逸話です。
2001年でしょう。
中島教授率いる研究グループがノニの主要成分のスコポレチンを発見し、非常に強い抗酸化能がノニジュースの主要な効果に関与していることを明らかにしたのです。
その後も長崎大学の研究グループは、ノニの先駆的「(株)エムケーラボラトリーズ」との共同研究によって、
インドネシア産のノニジュースにイリドイド物質が最も多く含まれるという事を明らかにしています。
本格的なノニ研究は、ノニ原産国インドネシアやポリネシアで始まったのではなく日本です。
それによって、ノニは今や世界中で単なる飲料を超えた存在として支持されているのです。

ノニ研究が始まってから20年。インドネシア産ノニジュースが最高品質であることは既に多くの日本の健康に関心のある方はご存じです。
この研究開始が多くの方の健康に大きく貢献し、今後も永遠に続くように、M&Kは顔晴(がんばり)ます。

2022年1月16日
(株)エムケーラボラトリーズ
西垣 敏明

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