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蘇った熱帯薬用植物ノニ (6):便秘からガンまで
ドウクンとバリアンは現代でも医療従事者
中部ジャワの医療従事者ドウクン
インドネシアには、伝承医薬品ジャムゥを通じて健康と病気の治療に貢献する医療従事者がいます。
中部ジャワではドウクン(Dukun)と呼ばれる者でいずれも男性です。
独自のジャムゥ処方を開発、製造するなど現在でも存在価値は高い。
著者はジョグジャカタで一人のドウクンに出会い、機会あるたびに彼が経営するジャムゥ店に行き、ジャムゥに触れ疲れを癒すことにしています。
インドネシアの伝承医薬に興味を持ち、初めてジョグジャカルタを訪れ、世界遺産登録のボドブドール仏教寺院とパナンブランヒンズー教寺院を見学しました。
空海もボドブドール寺院で修業を積みたかったようですが、機会を得ることはなかったとインドネシアの歴史書に綴られています。
この時、ガイドに案内されたのが、ジャムゥ飲料を提供する”Ginggang”というジャムゥ薬局。
そこで経営者のドウクンにお会いしたのは、2001年。
インドネシアの医療従事者ドウクン
ドウクンのSoebari氏と経営するジャムゥ店、ジャグジャカルタ
2001年
そして2024年3月、最後の訪問になるかもしれないと考えながらジョグジャカルタを訪問。
Ginggangに行きあのドウクンにお会いしたと思ったのですが、5~6年前にご逝去されたとの事。
奥様はご健在で20数年前のご主人との写真をお見せしたところ、大いに喜び懐かしがられていました。
現在は弟さんが店を継ぎ、古い写真やジャムゥ製造の道具などが陳列されていました。
現在は伝承医薬品勉強の学習コースに組み込まれているようで、多くのお客さんもジャムゥを一杯飲みに立ち寄ります。
小学生の息子さんをお連れしたお父さんは、息子に熱さましにジャムゥを飲ませていました。
合成医薬品が主流の現在ですが、伝承医薬品ジャムゥの力を信じているのです。
バリ島の医療従事者バリアン
インドネシアは10世紀にもなるとイスラム教が隆盛となり、中部ジャワのヒンズー教徒は東へ移動せざるを得なくなったようです。
ヒンズー教徒の医療従事者であるドウクンも共に、ジャムゥ処方を携えてジャワ島の東のバリ島に逃れました。
バリ島はヒンズー教徒の島として、ジャワ島とは言語や文化を異にしている。
バリ島の医療従事者はバリアンと呼ばれる。
村には必ず一人のバリアンがおり、呪術、医者、薬剤師、マッサージ、出産など住民の医療に携わっています。
現在でいう街の主治医という役割を持っているのです。
一家の中で最も優秀な男性がバリアンを世襲しますが、優秀な女性が承継することもあるようだ。
病気の際には、先ずバリアンに診てもらうのがバリ島住民の習慣となっている。
伝承医薬品ジャムゥや医療体系はロンタルというヤシの葉に記録され、現在も約200年毎に複製されている。
ノニの伝承使用の調査のためバリ島を頻繁に通い、バリアンより伝承医薬品のノニ果実使用の処方を学んだ。
一処方としてノニ果実にキンマ葉(現地ではシレ)を加え、塩・酢を加えたノニジュースは、めまいに特効ということも学んだ。
バリアンの指圧で頭痛、肩こりを治しても頂いたことがある。
風邪、めまい、疲労、アレルギー、消化管疾患など多彩な病気にノニ果実が使用され、玄関や敷地内にはノニの木が何本も植えられている。
インドネシア、バリ島の医療従事者バリアン
妊婦の健康状態を改善する老齢のバリアン
珍しい女性のバリアン
訪問するたびにおもてなしのノニジュースを
このように、現代医学や医療体制ができるまでドウクンやバリアンのような伝統的な医療従事者が、連綿と熱帯人薬用植物を利用して人々の健康維持や病気の治療にあたっている。
その知識と経験は脈々と現代に受け継がれています。
太平洋の島々にも薬用植物を用いて治療にあたる医療従事者がいるが、インドネシアを起源とする末裔であろう。
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