ノニはインドネシア原産の熱帯薬用植物
ノニとは?
Morinda citrifolia (邦名:ヤエヤマアオキ、通称ノニ)は、インドネシアのモロッカ諸島(現マルク諸島)を起源とする熱帯薬用植物(Ridley)。
この学名は、インド(inda)の桑(Mulberry)の実に似た、柑橘類(citri)様の葉(folia)を持った植物という意味から付けられています。
桑とは別の科であり、コーヒーと同じアカネ科に属する。
確かに桑の実に似た集合果であり、しかしその大きさは手にひらに入りきれないほど。
植民航海時代の英国人がインドネシアのノニの実を”Great Morinda”と名付け、現地の人も”Mengkudu Besar:大きな果実)と呼んでいます。
葉は柑橘類に似て光沢があり、幅20㎝、長さ4~50㎝にもなります。
私が見た最大のノニの木はバリ島のインド洋に面した海岸沿いで、幹の太さは4~50cm、高さは10m程のもの。
バリ島の大きなノニの木
現インドネシア人(東部のメラネシア人ンは除く)は、約6千年前に中国南部より移住した民族といわれています。
彼らが移動してきた際には、スンダ大陸は地球温暖化のために海水面は上昇し、現在の世界一の島嶼の国であったでしょう。
スンダ大陸は、現在のジャワ島、スマトラ島、ボルネオ島が中国大陸と陸続きの広大なエリアであったようだ。
いたる所に奇妙な形の果物があり、不味いが栄養がありそうだし、元気が出るということで、食料不足の場合には積極的に食べたであろうことが十分に予測されます。
その後、現在に至るまで連綿とノニが健康維持、病気の予防や治療に利用されています。
一家に1本のノニの木が植えられ、利用されるという事例は世界的にも稀です。
それほど、ノニは日常生活に必要な熱帯薬用植物であり、インドネシアの伝承医薬品ジャムゥの重要な素材の一つになっています。
有益なノニは約3000年前、幻の航海民ラピタ人によってメラネシア(マルク諸島)より、ミクロネシア、ポリネシアに伝播されました。
マルク諸島はメラネシアであり、正確にはインドネシアというよりメラネシア原産の果実というべきかもしれません。
インドネシアの最東の島、パプア島にもノニは分布しています。
ノニの原産地マルク諸島を訪れるのは、長い間の願いでしたがキリスト教とイスラム教徒の宗教対立が激しく、お互いの殺戮事件が頻発し、渡航禁止区域でした。
念願が叶い始めてマルク諸島の中心都市アンボンの土を踏んだのは、2011年10月のことです。
この時にも、一週間前に宗教対立があり警察・軍隊による厳戒態勢がとられ、残念ながらアンボンからノニの密生植生地を訪れることができませんでした。
現地の方の話によると、現在は果実を食べることはないが葉を健康食品として食べる習慣があると聞きました。
アンボンの犠牲者を悼む平和の鐘
ノニの分布
ノニは熱帯薬用植物であり、植生には高温を必要とします。
世界的な分布では西はアフリカ東海岸、東は南米にまで達し、南北回帰線内が主たるノニの植生地のようだ。
日本の沖縄にもノニが原生しているが、実は小さく周年の収穫には向かない地と言えます。
因みに八重山諸島の青木でノニが見つかり、ヤエヤマアオキの邦名がついています。
インドネシアでは、海岸沿いや川沿いに自然植生しているが、標高1000mの山には生えていません。
訪れたほとんどの島々では、各家に一本のノニの木を植えているのには大いに驚嘆しました。
生活と密着した植物なのです。
バリ島の家族、庭にノニの木2本を植える
パプア島のノニ果実
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