一瓶の薬局
善いオイル、悪いオイル
ヴァージンココナッツオイルの話
Drug Stores in a Bottle: Good Oil and Bad Oil
8 1900年代初頭アメリカの心臓病
アメリカには心臓病はなかった
1900年代の初頭、アメリカには心臓病はほとんどみられなかった。
アメリカの心臓病専門家医であり心臓病に関して最初に著したPaul D. Whiteは、1921年にボストンで心臓病の実地医家として出発したが、最初に心臓冠状動脈疾患患者に出会ったのは1928年としている。
1930年の心臓病による全死亡者数は3000人のみで、リューマチ疾患や高血圧症が優勢だった。
当時、アメリカ人は何を食べていたのか?
彼等は、ラード、バター、獣脂などの動物・酪農性脂肪やココナッツオイルを摂っていた。
コーン、大豆、綿実、ベニハナやひまわりオイルなどの植物油は何処に?
当時はこれらのオイルは市販されていなかった。
この状態は米国が第二次世界大戦に参戦し、日本軍がフィリピンなどのココナッツオイル生産国に進駐するまで継続した。
米国はもはやココナッツオイルを入手できなくなり、大豆油やリノール酸製造工業が誕生した。
戦争終結までに、大豆やコーンオイルはココナッツオイルの市場を奪い取る状況であった。
戦争後の1946年、ココナッツオイルが米国に再度輸出されようとした時、大豆油業界の圧力運動が開始され、ココナッツオイルのみならずあらゆる熱帯産オイルに反対した。
アメリカ人の舌は、完全に多価不飽和脂肪酸とこれから造られたマーガリンやショートニングの味と使用に慣らされてしまっていた。
驚くべき心臓病死亡者の増加
第二次世界大戦終了後の僅か5年後の1950年、驚愕すべき健康上の問題が突然米国を襲った。
米国の国民調査報告はアメリカ人を驚かすものであった。アメリカ人の51%は心臓病で死亡し、その90%は冠状疾患によるものであった。
心臓病が原因の死亡数は50万人。
この原因は何か?戦争によるストレス効果がまだ冷め止まないのか?
戦争中の食物欠乏時には英国、オランダ、スウェーデンやフィンランドでも心臓病による死亡者はほとんど報告されていなかったが、戦争終了後の食料増加に伴って、米国ほどではないが心臓病死亡率は再び増加し始めた。
人口増、平均余命の延長や喫煙率の増加はこの減少を説明できない。
診断率向上の影響でもない。
1950年代の心臓病診断レベルは1930年代と大して変わっていない。
携帯用の直接描画ECG機器は開発されたばかりで、かさばり使用しづらいECGに置き換わり始めていた。
心筋梗塞の酵素試験法は、まだ水平線上にも現れていなかった。
トランス脂肪酸食品の氾濫
当時、最も顕著な変化はアメリカ人の食事にあった。大豆やコーンオイルの広範な使用やこれらのオイルの部分水素添加産物は、バターやココナッツオイルに置き換わっていた。
1950年までにバターの消費量は半分に落ち、多価不飽和脂肪酸のリノール酸オイル(コーン、大豆や他の植物性オイル)、リノール酸より作られるマーガリンやショートニングに取って代わったのだ。
マーガリンやショートニングは、ドイツ人化学者によって発明された部分水素添加工程によって不飽和脂肪酸から人工的に創られる。この方法によって、クリーム状に固化した安定な製品ができ、パン、クッキー、ビスケット、クラッカー、パイ、ケーキやその他の食品を焼き上げる事ができる。
この様にトランス脂肪酸はあらゆる加工食品、レストランや家庭でも制限なく摂取されている。誰もトランス脂肪酸が毒性があるとは知らない。トランス脂肪酸が心臓病死亡増加の原因要因でないかとの疑いが生じると、食用油製造グループは早急に飽和脂肪酸が原因と指摘し始めた。
しかし、1940年代まで動物性飽和脂肪やコレステロールはアメリカ人の食卓に乗せられる脂肪であり、冠状動脈疾患は問題となっていなかった。
実際Dr. Whiteは、米国心臓病パネルの医師たちにバター、ラード、牛肉や卵に代わって、コーンオイル、マーガリン、鶏肉やセリアルを”Prudent Diet”(思慮ある食事)として、推挙するように懇願された。
しかし、Dr. Whiteは拒否した。
飽和脂肪は悪い脂肪でなく、心臓病医と働き始めた当時、心臓病の原因となっていない事を彼は知っていたから。
1953年にミネソタ大学のDr. Keysは、「あらゆる脂肪は心臓病の原因である」との「脂肪:心臓学説」を提唱し、その後トランス脂肪酸説に移行した。
食用油業界はトランス脂肪酸の生成を抑制するように、部分水素添加工程を約束したものの一切変更はされなかった。
理由は不明であるが、Dr. Keysは心臓病の原因として飽和脂肪酸に注目したが、その後多くの研究者の研究結果よりトランス脂肪酸によって増加する小比重LDL-Cやリポ蛋白質が動脈硬化の原因とされた。
小比重LDL-Cは血管内内皮細胞に浸み込み、内皮下に移行することが明らかにされた。
リポ蛋白aはアポ-B蛋白と結合、動脈壁に癒着し、抗線溶作用によって血栓溶解作用物質のプラスミノーゲンからプラスミンへの転換を抑制する。
格言
We learn from history that We do not learn from history.
By George Bernard Shaw
目次
はじめに
1.一瓶の薬局
2.秘かなココナッツオイル研究
3.ココナッツオイルの政治経済的歴史
4.アメリカの毒:アメリカ人は何故デブか
5.メタボリック・シンドローム
6.必須脂肪酸
7.トランス脂肪酸
8.1900年代初頭アメリカの心臓病
9.EVCOは糖尿病に効果
10.EVCOでダイエット(1)
11.食用油は短命の原因
12.EVCOでダイエット(2)
13.ファーストフードのトランス脂肪酸
14.粥状硬化の発症:神話と新しい事実(1)
15.粥状硬化の発症:神話と新しい事実(2)
16.カノーラオイルは安全か
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アルツハイマー改善に効果があると言われているバージンココナツオイルは本当に太らないのでしょうか?いくら中鎖脂肪酸が60数パーセントで残りは体外に排泄されるといいますが、例えば無尿のため水分制限を受けている入院中の透析患者などではどうでしょうか?ほとんど有効な運動もできず代謝も悪い状態でもこのオイルをスプーン1~2杯程度ではなくメアリーニューポート女史の推薦する60mg~100mg
の量を毎日摂取すれば排出されずどんどん太ってしまうと思います。そうすると、太る=透析時の除水による身体への負担が増える=不整脈等の副作用が起きる、となりますが如何でしょうか?ご意見をお聞かせ下さい。
音部様
エクストラ・ヴァージン・ココナッツ・オイル(EVCO)につきまして、ご質問を頂き誠にありがとうございます。
日本ではココナッツオイルの研究は、戦後食品として仕様されたことが無いために、一切行われていません。
通常のカノーラ、大豆、などのオイルによる肥満は、含まれる長鎖脂肪酸が過剰の場合、エネルギー産生に使用されずに脂肪細胞に蓄積されることによるものです。
また、これらの食用や工業用オイルには、自然界にないトランス脂肪酸を含み、これがどのように代謝されるかはよく分かっていません。
恐らく、代謝されずに肥満や動脈硬化の原因になっていると考えられ、アメリカ人のデブの原因と考えられます。
弊社が行った研究では、10名の女性にEVCOを毎食前30分に5mL~10mL、1日15~30mLを3カ月間食べていただきました。
その結果、1名を除き毎月おおよそ1㎏の体重減少に成功しています。
その他、脂肪代謝に関係する指標も同様に改善しています。
こちらをご訪問ください。
http://www.thisismk.co.jp/material/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%82%B3%E3%83%8A%E3%83%83%E3%83%84%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%AB%EF%BC%88ev
EVCOの60%以上は中鎖脂肪酸、94%が飽和脂肪酸(中鎖+長鎖)、6%が不飽和長鎖脂肪酸でできています。
水は含まれていません。
EVCOを飲用した場合、通常総てが消化管から吸収され、中鎖脂肪酸は直ちに肝臓に到着し、エネルギー産生に使用されます。
一部はそのまま便中に排泄されるでしょう。
中鎖脂肪酸は、同時に長鎖脂肪酸の年商を促すと言われており、結果的に減量効果を発揮します。
御懸念の腎臓透析患者に対する影響に関しましては、EVCOには水分を含みませんし、脂肪酸の代謝による水の産生は僅かです。
よって、水分貯留による透析への影響は、他の食品と比較しても軽微であると思われます。
以上です。