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M&Kpedia: クスリウコン

2018年03月03日 13:00 | コメント/トラックバック (0)

ウコンの王
クスリウコン

分類

界:植物界
  被子植物
  単子葉類
目:ショウガ目
科:ショウガ科
属:ウコン属
種:クスリウコン
学名:Curcuma xanthorrhiza Boxb.
和名:クスリウコン
現地名:Temu lawak(テムラワック)
英名:Javanese turmeric

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クスリウコンとは

クスリウコンは、ショウガ科ウコン属のインドネシア原産。インドネシアでは野生し、外形はガジュツに似るがより大型。
高さ2m、根茎は肥大、深黄色、刺激香、苦みがある。
根茎からでんぷんを採り食用。
花序は野菜、根茎は薬用で主成分はキサントリゾールやクルクミンである。
現地ではテムラワックと呼ばれ、Javanese turmericとも英語表記されることもある。
インド原産のウコン(C. longa)との変種とされるが、インドネシア原産であり、クスリウコンのクルクミン含量はウコンより多く、薬効が強いく様々な抗酸化成分を含む。

C.xanthorrhiza-300x227 (1)

類似種と呼称

ショウガ科には多くの種類があり、日本で使用あるいは知られているものとして次のものがある。

レッドジンジャー(Alpinia purpurata), オオバンガジュツ(Boesenbergia pandurata), ムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa), マンゴージンジャー(C. amada), ハルウコン(C. aromatica), ウコン(C. longa VAL., C. domestica L.), マンゴーガジュツ(C. mangga), ガジュツ(C. zedoria), バンウコン(Kaempeferia galanga),  バンガジュツ(K. rotunda), ナンキョウ(Languas galanga), イモニガショウガ(Zingiber aromaticum),
ショウガ(Zingiber officinale), ハナショウガ(Z. zerumbet)など。

日本でいう春ウコンや秋ウコンは、植物分類上存在しない。

インドネシア、伝承医薬品ジャムゥとしての使用

インドネシアの方々は、ウコンよりクスリウコンを伝承医薬品ジャムゥとして、精力増強に好んで使う。
ジャムゥの本場であるジョグジャカルタのジャムゥ薬局では、男女ともジャムゥ飲料を飲みに立ち寄り、男性はクスリウコン入りの伝承医薬品を精力増強、疲労回復に好んで用いる。

インドネシアではクスリウコンはウコンに代わる伝承医薬品ジャムゥとして、水抽出液単独、他の薬用植物を加えて利用している。
健康維持増進剤、肝臓・胆のう・腎臓系疾患、女性の月経から産後にかけての健康管理、胃炎・便秘・下痢などの消化器疾患、子供のひきつけや風邪など。
多分野にわたって効能・効果がある身近な伝承医薬品と位置付けられている(1-4)。


主な用途
1クスリウコンの澱粉は易消化性の食料(特に子供によい)

2正常人の健康管理に
3糖尿病患者の健康回復に
4便秘、下痢
5胃炎
6月経中、産後の生殖器清浄作用
7出産時の安産に
8産後の健康管理と正常月経周期へ
9催乳作用
10利胆作用による肝臓、胆のう疾患
11利尿作用(黄疸)
12腎臓・尿道結石
13腎炎
14熱、ひきつけ(痙攣・てんかん)防止作用
15進行した風邪の治療
16にきび
17痔疾患
18肥満
19美容、その他多数。

生産加工

クスリウコンは原産国インドネシアでは、広く栽培され乾燥品、その粉末製品、アルコール抽出エキス粉末などが生産される。
インドネシアでの栽培には、農薬や化学肥料は一切用いていない。
生産量については、不明である。

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クスリウコン乾燥物

IMG_5756-300x200 (1)
クスリウコン粉末(日本製造)

成分組成

クルクミンを主成分とするクルクミノイド、セスキテルペノイドが豊富に含まれています。
セスキテルペノイド成分としては、下記のものが確認され、特徴的な成分としては、ウコンに含まれないキサントリゾールが確認されている。

α‐Curumene, ar-Turmerone, Xanthorrhizol, Germacrone, Camphar, β-Curucumene, β-Sesquiphellandrene, Curzerenone, α-Turmerone, β-Turmerone。

東京都立衛生研究所は、クスリウコンから19成分を確認している(5)。
また、一般的にクルクミン含量には大きな地域差があり、日本国内に移植したものに比較しインドネシア産の方が明らかに多い事を報告している。

インドネシアと日本栽培のクスリウコン成分比較 (単位、mg/100g)(5)

物質名

インドネシア産(1)

インドネシア産(2)

日本・国立衛生試験所産

日本・東京薬科大学産

Curcumin

2440

1660

250

170

Mono-demethoxycurcumin

1250

660

50

30

Bis-demethoxycurcumin

210

10

10

10

Total

3900

2360

310

210

 

 

 

 

 

 

 

(1):チアンジュール栽培種 (2):バリトロ栽培種

クスリウコンとウコンの違い
インドネシアでは伝承医薬品ジャムゥ(Jamu)の素材として、古くから使用される伝統的な生薬です。
インドネシアの薬用植物書「Cabe Puyang 2」によると、42の疾病の治療や予防にクスリウコンが処方されている。

インドネシアではウコン(C. domestica, C. longa)は食品と使用され、伝承医薬ジャムゥで利用されることは多くない。
日本ではウコンがもっぱら健康食品に使用されるのと大きな差がみられる。

一方、ウコン類の伝承医薬ジャムゥでは、クスリウコンが圧倒的に使用されている。
ウコンと同一成分も含まれていますが、クスリウコン独自のセスキテルペノイドが含まれるのが大きな特徴。

キサントリゾール、カンファー、クルクメン、ガルマクロン、ツルメロンなどのテルペン類に数々の機能性があることが解明されている。
特にキサントリゾ―ルはクスリウコン特有の成分であり、抗腫瘍効果が強い。
このように、クスリウコンは通常のウコンとは異なり、インドネシアのジャムゥ伝承医薬でも独特の地位を保っている。

ウコンには含まれないか少量だけ存在し、クスリウコンにだけ豊富に認められるテルペノイド系物質はクスリウコンの大きな特徴。
Curcumeneには抗腫瘍効果、Xanthorrhizolは肝臓に対する作用、Germacroneは解熱作用や抗炎症作用、Camphorは胆汁分泌促進作用が知られています。
これらの物質は、クスリウコンに特徴的でありインドネシアで伝承的に使用され、効果をもつ大きな要因であり、ウコンとの大きな違いである。

     クスリウコンとウコン
のテルペノイド含量比較(5)

 

クスリウコン

ウコン

物質名

インドネシア産(1)

インドネシア産(2)

日本・国立
衛生試験所産
台湾より移植

日本・国立
衛生試験所産
在来種

α-Curcumene

++

+++

+

+

β-Curcumene

++

+++

Xanthorrhizol

++

+++

Germacrone

+

++

+

Camphor

+

+

-:検出されず、+:0.5~5% ++:5~15% +++:15%以上
(1):チアンジュール栽培種 (2):バリトロ栽培種

効能

心臓疾患、腎臓病、肝臓疾患、糖尿病、貧血、食欲不振、脳卒中、皮膚疾患、呼吸器疾患、女性器疾患、駆虫などが上げられる。
これに加えて、抗腫瘍効果、体温下降作用、胆汁分泌促進作用、抗炎症作用、睡眠延長作用が報告されている。

*抗腫瘍効果(6)
  クスリウコンの抗腫瘍効果として、α‐curcumene, ar-turmerone, xanthorrhizol が報告されている。

肝臓病予防・治療(7)
  肝臓毒性物質によって惹起した肝臓傷害に対するクスリウコンの予防および治癒効果として、様々な肝臓毒性物質から肝臓を防御し、肝臓病変の治療に有益である。
  このように広範囲の肝臓防御治療物質として期待できる。


*乳がん(8)

  クスリウコン成分の組合せはヒトの乳がん細胞MDA-MB-231の成長をアポトーシス誘導によって相乗的に阻害する。
  本報告は、初めてキサントリゾ―ルとクルクミンの組み合わせによってMDA-MB-231細胞の細胞死効果を明かにした。
  この結果はキサントリゾ―ルとクルクミンの組み合わせがMDA-MB-231細胞をアポトーシスによって相乗的に成長抑制活性を示すという仮定を支持するものである。

栄養成分

インドネシア産クスリウコンの粉末の栄養分析例(9)

項目

成分値(100g当り)

水分

11.5 g

エネルギー

357 kcal

たんぱく質

10.4 g

脂質

5.1 g

炭水化物

67.3 g

ナトリウム

4 mg

食塩相当量

0 g

灰分(ミネラル)

5.7 g

重金属(鉛として)

検出せず

たんぱく質、炭水化物が豊富であり、灰分(ミネラル)も多い。
半定量試験では重金属は検出されない

用量

インドネシアでは、クスリウコンは生のまま食べることは少ない。
通常水を加えて煮出すか、乾燥して粉末状にして摂取する。

通常4~8cmの長さ(約10~25g)のクスリウコンを薄く切り、水や他の薬用植物などを加えて煮出し、成人1日分の用量として摂取することが多い。
粉末として一日1~2gに相当する。
しかし、粉末の場合は浸出液と異なり、全部を飲用することになりますので、用量としてはおおよそ0.5~1gが1日用量に相当すると考えられる。

利用

日本ではクスリウコン粉末を健康補助食品として、主に錠剤として利用している
また、家庭では亀ジェリーに混和し美容とダイエットの食品となる。
乾燥物は焼酎に漬けて自家製の健康クスリウコン酒としても愛用される。
歯茎の健康にそのまま齧ること人もいる。

副作用

クスリウコンを伝承医薬品ジャムゥとして飲用する限り、副作用の報告はない。

脚注

1.OBAT ASLI INDINESIA, by Dr. S. Santroamidjojo, Dian Rakyat, Jakarta, 1997より
2.ジャムゥ、インドネシアの伝統的治療薬。高橋澄子、平河出版社
3.Medical Herb Index in Indonesia, PT Eisai Indonesia, 1986
4.Cabe Puyang 2. S. Mardisiswojo and H. rajakmangunsudarso. Balai Pustaka、Jakarta 1987
5.上原真一他。 薬学雑誌、112(11)、817~823、1993
6.H. Itokawa et al., Chem. Pharm. Bull., 33, 3488, 1985
7.Lin SC, Lin CC, Lin YH, Supriyatna S, Teng CW. Am J Clin Med. 23 (3-4): 243~54, 1995
8.Yew Hoong Cheah, Fariza Juliana Nordin, Rozie Sarip 他. Cancer Cell Int. 9:1, 2009 (published on line on January 2, 2009)
9.(株)エムケーラボラトリーズ資料

関連人物

関連項目

外部リンク

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