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蘇った熱帯薬用植物ノニ (2)
これがノニの真実: 便秘からガンまで
ノニって何ですか
薬学部では薬用植物学や生薬学を学ぶが、ほとんどは北方系の寒い気候に植生する植物が中心であり、熱帯の薬用植物については全く教えられない。
1999年、著者が初めて熱帯国インドネシアに行き出会ったのがノニという果実。薬学の基本である色、匂い、味のため齧ってその強烈な印象は今なお消えない。
今まで見たことのない果実、昔どこかで嗅いだ匂い、酸っぱく決して美味しくない味。
しかし、このノニへの興味が生来持つ好奇心に火を点け、人生の後半を運命づけました。
この摩訶不思議な果実について、本書で述べてゆきます。
ノニの植物学
ノニは、アカネ科のヤエヤマアオキ属の樹高8~10mの常緑小高木。
「インドの桑の実に似たかんきつ類様の葉を持った植物」ということから学名がつけられ、地域および民族、文化によって様々な名前で呼ばれています。
日本名は沖縄のヤエヤマ諸島のアオキで見つかったからといわれています。
インドネシア原産のノニは他地域のものに比べて大きく英国人はGreat Morindaと称し、インドネシア人はMengkudu besar (大きなノニ果実)と呼んでいます。
ノニはハワイの呼称ですが最も広く行き渡っていますが、インドネシアのセレベス島(現スラウェシ島)ではNonyと呼ぶことから、ノニはインドネシアより拡散したことの確証になります。
表1ノニの植物学的分類(1、2、3)
分類 | ラテン名 | 一般名 |
界 Kingdom | Plantae | 植物界 |
門 Division | 被子植物門 | |
綱 Class | 双子葉植物綱 | |
目 Order | ||
科 Family | Rubiaceae | アカネ科 |
属 Genus | Morinda | ヤエヤマアオキ属 |
種 Species | Morinda citrifolia | ヤエヤマアオキ |
学名 | Morinda citrifolia L. | |
和名 | ヤエヤマアオキ | |
英語名 | Indian mulberry, Great morinda | |
インドネシア名 | Mengkudu, Mengkudu besar, Pace, Tibah, Cangkudu, Kudu, Wangkudu, Manakudu など | |
中国名 | 檄樹(台湾)、海巴戟(中国) | |
その他の呼称; インド、 | Al, Ach, Tagasa, Noona-maram, Yaw, Nhau, Nho, Nino, Noni, Kura, Nono, Nonu, Nen, Lada |
果実は長さ5~8㎝、卵形で成熟すると黄色を呈し、中鎖脂肪酸に由来する独特の匂いを発酸味と渋み、果実内に多数の種子を含み、インドネシアでは一年中果実が結実します。
ノニ果実の表面は蜂の巣状の5~6角形の模様を呈し、小さく青い果実に5~6弁の白い花が多数咲かす。
枝の頂部の果実は枝の伸長とともに大きさを増し、根部では大きく成熟し黄色を呈する。過成熟すると落下して柔らかくなり、周囲に強いノニの匂いを発します。
果皮は薄く果肉と分離はできない。成熟果実の果肉は白く、多数の褐色の種子が花冠状に配列します。
種子は薄く、胚はほとんど認められないが、生命力は強く水分があれば痩せた土壌でも生育します。
実際、コンクリートブロックの僅かつなぎ目の隙間にノニの木が生えているのを目撃したことがあります。
光沢のある葉は可食でき、樹木の幹や根は染料として使用されます。
ノニは熱帯性気候を好み、インドネシアでは標高1500m以上の高地では育ちません。
赤道直下に位置するインドネシアを中心に、南北回帰線内がノニの成長に適した気候です。
日本のように温帯気候では、夏季に種子は発芽し10㎝までの大きさに生育しますが、冬季の寒さには耐えられず融解します。
アカネ科には多くの属種があり、コーヒー類、トコン、キナノキ、ヨヒンビノキ、ガンビールなど薬効成分を含むものが多く、口述するようにノニにも多くの動物に有益な薬理作用があります。
図1ノニの木と果実
強い陽射しを浴び成長するノニの木 | ノニ果実の表面には白い花が咲き、果実内に種子が生まれる |
ノニの木の枝の先から根元に向け成長、成熟するノニ果実 | 成熟ノニ果実の断面 |
ノニはインドネシア原産の薬用植物
博物学者H.N.Ridleyによると、ノニはインドネシアのモルツカ諸島(現マルク諸島)が原産地としています(4)。
マルク諸島はスラウェシ島とパプア島の中間に位置し、メラネシアというべき地域です。多くの書籍や論文で原産地をポリネシアとしていますが、ノニ伝搬で述べるように原産地のインドネシアから拡散したものです。
約2万年前に氷河期が終焉し地球温暖化に伴い海水面は上昇し、インドネシアのスンダ大陸は現在の18,000余りの島嶼の地形となりました。
約6000年前に中国の揚子江近辺の民族がインドネシア周辺地域に移動し、現マレー人の祖先になりましたが、移動中にメラニシアのモルツカ諸島でノニを発見し、インドネシアの各地に、またその後アフリカや太平洋地域に拡散させたと考えられます。
ノニの伝搬
約3~4000年前、「幻の海洋民族ラピタ人」はインドネシアよりミクロネシアやポリネシアへの拡散を開始し、長い航海の後ポリネシアへ広がり、ハワイには約1500年前に到達しています。
ノニはアフリカ東部にも植生していますが、アラブへの貿易に伴い伝搬し、沖縄へは漁労民族の移動によって拡散したと推測されます。
このように、ノニ果実は有益な医薬品として認識され、また栄養価の高い食品として航海や漁労には欠かせないものであったと考えられます。
比較的速やかに成長することもあり、木材は船の建材に材木や根の染色材は漁網の耐久性を高めるために使用され、航海時には必須の果実でした。
ラピタ人は、ノニの他にもインドネシア地域を起源とする多くの熱帯植物を太平洋地域に伝搬させています。
図2 ノニの伝搬
ノニ伝搬の歴史 |
20,000年前: |
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