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バリノニ石鹸のはなし(4)せっけんと合成界面活性剤

2010年06月25日 14:29 | コメント/トラックバック (0)


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せっけんと合成界面活性剤

界面活性物質とは
洗剤の容器には「界面活性剤」と書いてありますが、そもそも界面活性剤とは何でしょうか。難しいかもしれませんが、基本的なことを述べます。
物質は気体、液体、固体で存在します。異なる2物質が接する境目を界面といいます。
焼酎などのアルコールに水や湯を入れますと、上手く混ざります。
しかし、水の代わりに油を加えると混ざり合わなく、数滴の油のばあい水の上に油が丸くなって浮きます。水と油は犬猿の仲なのです。この水と油の境が界面です。
小学校で学んだように、油の界面に張力が働き(界面張力)丸くなり、できるだけ水と混ざらないように働くのです。界面張力は、表面張力と言い換えてもよいでしょう。
界面張力(表面張力)を低下させると、異なる2物質は一緒になり混ざり合う事ができます。
この様に、界面張力を低下させることによって、本来は混ざり合わない物質通しを可能にするものが界面活性物質です。
例えば、洗浄も界面活性物質による作用です。
衣服や食器について油汚れを付着部からはがし、水で洗い流すのは、洗剤という界面活性剤の作用によるものです。
界面活性物質は化学構造の中に油と結合する分子、水と結合する分子の両方を持っているのです。要するに、界面活性物質は混ざり合わない2物質の両方の性質をもち、仲人的な役割をするものです。
界面活性剤によって、洗浄だけでなく乳化、起泡、浸透などのさまざまなことができます。

せっけんは界面活性物質
せっけんは洗浄や乳化、起泡を起こす界面活性剤です。
せっけんの歴史で述べたように、せっけんは5000年前に偶然に見つかり現在に至り、その長い歴史と使用経験から安全であることが証明しています。
現在においても製造方法は自然の原料と環境を用いた「自然の産物」といえます。
せっけんは、後で述べる合成界面活性剤ではありません

合成界面活性剤は100年の使用経験
せっけんとは異なる「人工的」「非自然的」な界面活性物質のすべてを「合成界面活性剤」といいます。
合成界面活性剤が製造、使用されている歴史は非常に浅くわずか100年程度です。
第一次世界大戦中のドイツにおいて最初の合成界面活性剤AS(アルキル硫酸ナトリウム)が開発されました。
第二次世界大戦中には動植物油脂が不足したため、石油を主原料にしたABS(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)という界面活性剤が開発され、戦後のアメリカではこのABSにリン酸塩を加えて家庭用の合成洗剤が発売されるのです。
合成洗剤は「ソープレス・ソープ」(せっけんが入らない石鹸)と呼ばれ、日本では1950年にアメリカからABSが輸入され、国内生産・販売が開始されました。
電気洗濯機の普及とテレビコマーシャルの効果で瞬く間に普及し、1963年には合成洗剤の生産量はせっけんを上回りました。

合成界面活性剤の悪影響
普及している合成の界面活性剤は、登場した当初から河川に泡を立てるなどの環境への影響、手荒れや死亡事故などの人体に対する影響、魚への毒性の強さから生物学的な影響が問題となっていました。
現在でも、環境ホルモン(内分泌かく乱物質、メス化など)の原因物質と疑われるものがあり、河川や海の富栄養の原因として社会問題となっています。
テレビコマーシャルでは、「この商品の中に合成界面活性剤が配合されています」とは決して言わないので、固形の洗浄剤(せっけん)と誤解している方はほとんどです。
洗顔クリームなども合成界面活性剤で作られていることを、知らない人が大多数でしょう。

 
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